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僕らがかつて通り過ぎた碧い日々を想起させてくれるような、

そんなエヴァーグリーンなEPだと思えた。

​――lastweek(1027Whiteout)

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Track list

01. 氷 (Spring is Coming)

 作詞:小玉龍 作曲:SHISEI
02. Euphoria
 
作詞:小玉龍 作曲:須永大生、小玉龍
03. スカート (Skirt)
 
作詞:小玉龍 作曲:マッペ、小玉龍
04. コモンタイム (In The Rain)
 
作詞:小玉龍 作曲:SHISEI
05. 偽物のエンドロール (Never Wake Up From A Dream)
 
作詞作曲:小玉龍

およそ4年ぶりのリリースとなるEP「shunkinshou」。

 

全編ホームスタジオにてセルフレコーディングを行い、

自身ら特有のサウンドの確立にまた一歩近付いた今作。

 

前作と比べポップさが強調された楽曲群の背景には、

共作やセッションからなる、バンドの空気感を

投影したソングライティングが窺えながらも、

音楽面での実験性や退廃的な歌詞世界は健在しており、

​表現力の広がりと、一貫したポリシーが両立した

「SHISEI」らしさを感じられる一作となった。

リリースに際して、五十嵐航氏(Null)とlastweek氏(1027Whiteout)のお二方に

ライナーノーツの執筆をお願いした。

自身で解説することが野暮と思えるほど、客観的で的確、

そして心の籠った文章を寄稿いただいたので、

絶対にお読みいただきたく思う。

​また両名への感謝をここに記しておく。本当にありがとうございました。

SHISEI、ミニアルバム「shunkinshou」リリースおめでとう。

小玉君からライナーノーツを書いてほしいとお願いがあり、
自分に書けるか不安だったけど、光栄に思い書くことにした。

全曲共通して言えるのは、小玉君の少年のように細くて儚い声が僕は好きだ。
特にそれの良さを感じるのは三曲目の「スカート」で、軽やかな曲調に
小玉君の声がとてもマッチしていて、少し切ない春を想起させる。

アルバムの中で一番好きなのは「コモンタイム」。
一人寂しく、夜の帰り道を歩いていくような、そんな情景が浮かぶ曲。

ラストの盛り上がりで須永君のギターが一気になだれ込んでくるのが印象深い。

美しさと残酷さを併せ持つSHISEIの音楽を、
みんな、耳から離れなくなるほど聴いてくれ。

 

​​Written by 五十嵐航(Null)

自分の抱えた憂鬱が世界で一番大きいものだと信じて、
なんならある種の矜持のように思って日々を生きていたはず
なのに、
例えばあの子が挨拶を返してくれたとか、何かの弾みで手が触れたとか、
そんなことで簡単に生きてみようと思えてしまうような、
僕らがかつて通り過ぎた碧い日々を想起させてくれるような、
そんなエヴァーグリーンなEPだと思えた。

切っ先鋭いリフを基調に、絶えず静と動を行き来しながら、
泣きのメロディーを孕んだサビにカタルシスを覚える「氷」。

陰影を感じるアルペジオと、光を感じるコードワークのコントラストと、
「死んでしまいそうだ」なんて歌ってしまう危うさが心地よい「Euphoria」。

個人的に一番グッと来た(なんなら車内で一聴して拳まで突き上げた)
キラーチューンで、16ビート感の強いダンサブルな展開と、
桜舞う道で手を取り合って踊るような、高揚感と希望を湛えた言葉とメロディーに、
アグレッシブな楽器陣が呼応する「スカート」。

海中にいるようなベースの和音から、シューゲイズマナーを踏襲しつつも
その先まで見据えたサウンドスケープを展開し、
セカイ系とボーイミーツガールを感じさせる歌詞が響く「コモンタイム」。

ストレートな音作りと、明確に光を感じさせるようなコードワークに、
相反するような諦観を歌うアンビバレンスが最高に「らしい」、
SHISEI流パワーポップ「偽物のエンドロール」。

後生大事に抱え込みすぎて、あちこち錆だらけで埃を被ったイノセンスを捨てきれない、
全てのロックリスナーに、間違いなく突き刺さる大名盤だと感じた。
紛れもない新境地を見せてくれたSHISEI、これからどこまで大きくなっちゃうんだろう。
末恐ろしすぎるよ。

Written by lastweek(1027Whiteout)

Credit

Vibraphone (Tr. 03): 須永大生
Mix & Mastering: 小玉龍 & 葉山義恭
Recording at STUDIO OPIUM

Artwork: 田崎

SHISEI are
小玉龍 (Ryu Kodama): Vocal & Guitar
須永大生 (Daiki Sunaga): Guitar
マッペ (Mappe): Bass
大西優貴 (Yuki Onishi): Drums

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